温暖化が進んでいるらしい
そして、パリ協定で何やらその対策を決めたらしい
大方の人がこうした認識をもっていると思うが、その具体的な内容についてはよく知らない。
今回は、今、日本がどのような動きになっているかをお伝えしようと思う。
大きく3つの流れがある。
流れの源の1つは政府である。
残りの2つの源は、経済産業省と環境省である。
この3つについてご紹介しよう。
まず政府では
地球温暖化対策計画に基づく活動を開始している。
大目標はパリ協定(全ての主要国が参加する枠組み)の下で
経済と両立させながら2050年に温室効果ガスを80%削減することを目指している。
もちろん従来の取組みの延長では実現不可能だ。
「イノベーション」での解決を追求して実現を図るとしている。
問題は、イノベーションである。前例の無い事に取り組まない人々がイノベーションを評価できるのか疑問である。
そして、イノベーションはどうやって見つけ、育てていくのかも見えていない。しかし、期待をしているのが実情だ。
次に経済産業省
ここでは長期地球温暖化対策プラットフォーム構想をもっている。
先頃この報告書が纏まっている。
報告書には、持続可能な発展が地球温暖化の大目的と記され、そのために地球全体の温室効果ガス削減が必要とある。
2050年温室効果ガス80%削減は、現状と近未来に導入が見通せる技術全部を投入しても、農林水産業と2~3の産業しか許容されない水準であるという。
ゆえに、業界ごとや既存技術や国内などの一定の枠のなかでの対策では目標達成不能であるとし、「国際貢献」「グローバルバリューチェーン」「イノベーション」で地球儀を俯瞰した温暖化対策を長期戦略の核とすることが必要と訴える。
そして環境省
目指すべき将来像をビジュアル化した「長期低炭素ビジョン」を3月にまとめ、具体的戦略はこのビジョンを参考に考えて欲しいとある。
環境省のスタンスは、国内での長期大幅削減を目指し、既存技術の最大減の活用+イノベーションの創出で対処しようと考える。ここから、低炭素に繋げる再エネの拡大や、CO2の地下貯留・海中貯留の他、原子力発電で90%のエネルギーを賄う構想を出している。 国内だけ頑張っても、地球儀を俯瞰した対策とはならないので、効果は薄いかも・・・
3つの機関で方向性を検討中であるが、世界情勢を見極めて総合戦略に繋げて欲しいと望む。
さて、その中で、皆さんに知っておいて頂きたい課題をお伝えしたい。
再エネを主力電源にするための課題
1)高すぎるコスト
太陽光は40円から24円になった。しかしドイツでは9円であり、世界的に見て高すぎる。
原因は製品価格の高さと施工工事費の高さにある。
それでもやってこれたのは、FIT制度の稚拙な運用にあった。
同様に風力も22円であるが、ドイツでは9円である。
風力発電は、大規模なものになると環境アセスメントが必要で、太陽光よりも建設GOまでの期間が長い。
バイオマス発電がにわかに脚光を浴びているが、これは太陽光の二の舞となるであろう。
かくして高すぎるコストを、電気を使用するすべての個人・事業所に賦課金という形の税金が回ってくる。
2)調整用電源の課題
再エネは自然任せ(日照量、風況)により出力が不安定となるため、どこかにバッファーが必要だ。
バッファーとなる蓄電池や水素の貯蔵設備が必要となる。
現在のところ、適切な貯蔵設備がないため、火力発電所を使って安定出力を確保しようとしている。
つまり、貴方が電気を使うか否かに関わらず、火力発電所は運転して万一に備えて発電をしなくてはならない。
調整用電源として蓄電池が整備されるまでは、太陽光が普及するほど燃費の悪い運転をする火力発電所を生み出してしまう。そしてやがては、再エネ賦課金の他にこうした調整用電源のコストが嵩んでくることを、
私達は注目して行かなければならないと思う。
3)送電網の課題
送電網=グリッド は、再エネ由来の電源を拡大する上で、蓄電池を組み合わせた分散型システムが必要になる。
これまで、何度も実証試験が行われているが、本当にうまくいったという話を聞かない。
これら3つの再エネに関わる課題がある中で、再エネ賦課金は既に10倍以上にはね上がり、更に毎年上がり続ける。
せっかく、新電力を電力小売市場に大量に参加させ、競争原理によって電気代を下げようとしても
毎年上がる再エネ賦課金が帳消しにしていく構図になっている。
そして環境省は炭素税(カーボン・プライシング)を重ねてゆこうとしている。
貴方はこの流れをどう思われますか。
次回は、カーボンプライシングについてお伝えしたい。詳細は後日。お楽しみに。